耳の整形について

耳の形(かたち)を治療する場合、耳鼻咽喉科が治療を担当することをイメージしてしまうかもしれませんが、実は担当診療科は形成外科での治療となります。
耳鼻咽喉科が担当する耳の疾患は、主に「聞こえ」に関してで、耳の形に関しての治療となると形成外科が担当することが一般的なのです。

簡易な治療を耳鼻咽喉科が担当しても治療が難渋した場合や生まれつき耳(耳介)自体がないような難しい疾患でもある小耳症等を扱う場合は、形成外科に紹介となります。先天性の耳の形の変形は、非常に多く何種類もあります。

小耳症、副耳、先天性耳瘻孔、立ち耳、スタール耳、耳輪癒着症、先天性耳垂裂などが先天 性耳介変形と言う疾患(病気)に入ります。

そして、ピアスが洋服などに引っ掛かり切れてしまいお尻みたいになっている外傷性の耳垂裂の場合、後天性耳介変形となります。共に保険適用で治療が可能です。

立ち耳

一般の方が思い描く代表的な「立ち耳」と言う状態は、顔を正面から見た場合に耳が指で引 っ張ったように立ち上がっている耳の変形のことを言います。
耳介軟骨の一部である「 対耳輪(耳輪に向かってYの字に上脚・下脚に二又に分かれている)」の湾曲不足により曲がりが弱く耳を後方へ寝かせる力が弱かったり、耳介の根元であ る耳甲介軟骨全体が立っていたりして、耳介が起き上がって前方に向いてしまいます。

⇒ 立ち耳詳細ページはこちら

スタール耳

耳介軟骨の対耳輪(上脚・下脚)の二又に加えて第3脚(対耳輪が三又になっていたり4種類の型があります)が生じてしまい、耳が尖った様な形態になってしまう耳の変形をスタール耳と言います。
またの名をスタートレックのミスタースポックの耳の形に近いため、「スポック耳」などと言われたりもします。
治療方法は、単純に対耳輪第3脚を皮膚と共に三角形切除してしまう方法がありますが瘢 痕が目立ってしまうこともあり、当院では皮弁を利用した目立ち難い方法を採用しております。
できるだけ切開部を耳輪部に隠れるように行うことを目標としています。

⇒ スタール耳詳細ページはこちら

耳輪癒着症

耳輪部の軟骨が生まれた時から癒着してしまっている状態を耳輪癒着と言います。
埋没耳 やロップ耳に近い状態の場合もあり、区別が分かり難い症例もありますが、軽度な場合は出 生後早い段階で矯正することも可能です。
意外と多い先天性疾患(疾患ともいわれないこと も多い)であり、有名な芸能人でも認められます。

副耳

耳の頬側(外耳孔の前にある耳珠の更に前方)に、豆のように飛び出している軟骨性の腫瘤を副耳と言います。軟骨を含まないことも多々あります。
殆どの場合に、副耳は片側1個だけ存在するしますが、両側、複数個存在する場合もあります。
治療ですが、生まれつき認められるため、手術は小児期に行われることが多いです。
※小児の場合は大学病院形成外科をご紹介することもありますが、小学生位でスタッフからの説明を理解できるお子さんであれば当院でも治療可能です。

リンク:参照 https://jsprs.or.jp/general/disease/umaretsuki/mimi/fukuji.html

先天性耳瘻孔

耳たぶが二つに割れてしまった状態を外傷性耳垂裂と言います。
単純に切除して縫合した場合には再発してしまうこともありますので、特殊な方法を用いて縫合することで奇麗に治すことができます。

リンク:参照 https://jsprs.or.jp/general/disease/umaretsuki/mimi/jisuiretsu.html

外傷性耳介変形(通称:柔道耳・餃子耳)

耳介の外傷(怪我)などで生じる耳の変形を言います。柔道やレスリング選手に多いため、柔道耳と言われています。
軟骨膜上に血腫(内出血)ができてしまうと反応により、その場所に一致して軟骨用組織ができてしまいます。
場合によっては、硬く骨のような組織(石灰化)してしまうことあり、できる限り早めの治療をお勧めします。
一番は、血腫ができたら形成外科や耳鼻咽喉科にて血を抜いてもらう処置をするのが良いです。

小耳症

生まれた時から、耳介(耳の形)が小さく変形している病気であり、中には聞こえるのに関しても異常な場合も多い疾患です。
元々聞こえるための機能(蝸牛)や平衡感覚のための器官(三半規管)がないので耳鼻科の治療対象にならないことも多い疾患です。
治療ですが、耳作りが基本です。耳の形を肋軟骨から形成していきます。肋軟骨を採取し、ナイフで整えて形成して組み上げます。
最後の仕上げに耳起こしと言って、肋軟骨の土台を用いて立ち上げて、耳の角度をつけて正面から見ても耳が見えるようにしていきます。
※当院での対応は難しいため、大学病院形成外科にご紹介させて頂きます。

リンク:参照 https://jsprs.or.jp/general/disease/umaretsuki/mimi/shoji.html

埋没耳

耳介軟骨が側頭部に埋まっている状態(めり込んでいる状態)から、埋没耳と言われています。
4~500人に1人程度の割合で発生すると言われますが、実際に全体が埋まっていることはなく、耳介軟骨の特に頭側(上側)の耳輪部が皮膚に埋まっている状態です。
見た目にも気になりますが、メガネやマスクが掛からないと指摘を受け、小児期に受診されることが多い先天性疾患です。
治療ですが、発見が早く新生児期であれば、シリコンやワイヤー等の矯正器具を使用することで、手術に至らない場合もあります。
※手術になってしまった場合は、当院での対応は難しいため、大学病院形成外科にご紹介させて頂きます。

リンク:参照 https://jsprs.or.jp/general/disease/umaretsuki/mimi/maibotsuji.html

その他の耳介変形

ロップ耳、カップ耳、折れ耳など、多くの変形があります。症状に合わせて、手術方法や紹介先を考慮させていただきます。

こんな方におすすめ

  • 大学病院などに紹介を希望される方
  • ご自身がどのタイプの耳の変形であるかがわからない方
  • 保険診療で治療が可能かを確認したい方
  • 小児の耳の変形を気にされている保護者の方

耳の整形に関する当院の強みと特徴

院長は東北大学形成外科出身院長は東北大学形成外科出身
当院の院長(理事長)は、伝統的に耳に関連した治療を多く行っている東北大学形成外科出身の形成外科専門医です。
多種多様な耳の変形を対応多種多様な耳の変形を対応
立ち耳、スタール耳、また、他院の修正を多く扱っております。

治療の流れ

  • Step.01

    診察

    医師によるカウンセリングを行います。ご不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。
    治療方針、治療方法、リスクなど、詳しく説明します。

  • Step.02

    治療(立ち耳手術の場合)

    立ち耳修正術は、耳介の裏から皮膚を切開して耳介軟骨を直接矯正します

  • Step.03

    術後

    術後には耳の形に添ってガーゼを1-2週間の固定をします。

    手術時間:2時間
    麻酔:局所麻酔
    術後処置:術後に1-2週間のボルスター固定を行います。

よくある質問

Q.立ち耳の手術をするときピアスは邪魔になりますか。
A.立ち耳の治療では、通常のピアスでしたら問題ありません。
手術時は一時的にお外しいただくこともありますので、ご了承ください。
Q.サルみたいな耳なので、いつも髪で隠して生活しています。耳を治してアップスタイルなどにもしてみたいです。傷は目立たないようにして欲しいでが可能でしょうか。わがまま言ってすみません…。
A.正面から見て耳が横に突き出ているような形になっていらっしゃるのでしょうか。
もしこのような症状でしたら、「立ち耳」と呼ばれる症状かと思います。立ち耳は手術にて修正が可能です。場合によっては保険適応となる治療です。
立ち耳の治療は、耳の裏側から行います。耳の裏側に3、4cm縦に切開し、耳が側頭部に沿うような形に整えます。
その際皮膚などが余るようでしたら取り除き、元に戻らないようにします。手術後は耳の形に合わせてガーゼで保護します。
切開部分は縫合しますので、抜糸が必要となります。約1週間後に行います。
切る手術は傷あとが気になるでしょうが、傷跡は3~6カ月後にはほとんど目立たなくなりますし、耳を広げてみなければ見えませんから、髪形も自由にできますよ。
Q.保険診療が使えるかどうかを教えてください。
A.原則として、保険診療で対応いたします。しかしながら、条件に合わない方はお断りすることもございます。
Q.自分の希望した形にすることは可能でしょうか?
A.手術の方法から、希望を叶えられない可能性もありますので、受診の際に医師からよく話を聞いてください。
Q.耳介軟骨を用いて、鼻の手術を予定しておりますが、可能でしょうか。
A.原則、鼻の手術に使うことが多い「耳甲介腔」へはナイロン糸が掛かります。
術後3か月もすればナイロン糸は、機能しなくなりますので、抜糸しても問題ありません。
その旨を鼻の手術の術者にお伝えください。
Q.耳介軟骨の根元から立たせることは可能でしょうか。
A.当院では原則扱っておりません。希望される場合には、大学病院形成外科を紹介するようにしております。
Q.子供は乳児なのですが、耳の手術は可能でしょうか。
A.乳幼児の手術では、保険診療の全身麻酔が必要となります。
当院では、現状難しいため、大学病院形成外科などをご紹介しております。
しかしながら、埋没耳などはワイヤーを用いた治療を行えば戻る可能性もありますので、ご相談ください。

料金表

耳介形成術(立ち耳手術)保険診療
外傷性耳垂裂保険診療
耳介軟骨形成を要するもの(片側)¥57,720
耳介軟骨形成を要しないもの(片側)¥29,880

ドクターコメント

立ち耳の手術後の出血は耳介の変形(柔道耳)に通じますので、注意が必要です。術後の固定ではしっかりとボルスター固定を行い、出血による変形などを予防します。

日本形成外科学会専門医
医療法人社団 聡明会 理事長

田牧 聡志