陥没乳頭とは

ティーズクリニックでは陥没乳頭の「保険適用」(※)での手術治療を行なっております。
※保険適用は将来的に授乳が困難な場合のみとなります。

乳首が平坦であったり、先が窪んでいる状態を「陥没乳頭」または「陥没乳首」と言います。
指などによる刺激で容易に出るものを「仮性の陥没乳頭」、搾乳器などの強い刺激を与えても出てこないものを「真性の陥没乳頭」と呼ばれることもあります。仮性の場合は問題が無いことが多いですが、真性である場合は授乳がしにくかったり、炎症を起こしたしすることもあります。

女性医師の診療と手術は水曜日となります。女性医師ご希望の場合はご予約の際にお伝えください。

こんな方におすすめ

  • 乳頭(乳首)が凹んでいるように見える
  • 乳頭(乳首)の先端が全く見えない
  • 乳頭(乳首)が完全に陥没していて授乳できるか心配
  • 乳頭(乳首)が刺激しても十分に高さがでない
  • 乳頭(乳首)が平坦であり刺激しても変化がない
  • 乳頭(乳首)がとても小さい
  • 陥没乳頭の手術をしたが、再発してしまった
  • 術後にしっかりと術後経過を診てもらいたい
  • 手術を含めて丁寧な対応をしてもらいたい
  • 日本形成外科学会の専門医に手術して欲しい

陥没乳頭の原因

陥没乳頭の原因は、乳腺で作られた母乳を乳首まで運ぶ乳管が乳房の成長に追いつかずに未発達で短かったり、先天的な乳腺の異常で乳管が短かったりすると、乳首が乳管に引っ張られて陥没するといわれています。
女性の1.8 – 3.3%程度(*1)に陥没乳頭が発生し、ある報告では10%程度にまで上昇とも言われています。先天性の場合で9割近くは両側性と言われ、片側のみの陥没乳頭は少ないようです。先天性陥没乳頭は、本人が思春期に近づくにつれて認識する(気が付く)ことが多いようです。思春期前の場合は、成長と共に自然に治るため問題が少ないので、成人まで経過観察することもあります。
成人しても症状が持続する場合には、手術することをお勧めしています。授乳が可能であるか、または、見た目や乳腺炎などが心配で、治療を希望される方が多い傾向です。
欧米の食生活への変化に伴い、以前の日本人に比べるとバストの大きいな女性が増加していますが、並行して陥没乳頭も増加していると考えられています。
*1 波利井清紀(監修)、矢野健二(編著)、館正弘(1)、武田睦(1)(参考部執筆)、2010、『形成外科ADVANCEシリーズ II-5 乳房・乳頭の再建と整容 最近の進歩 第2版』、克誠堂出版
(1)東北大学形成外科教室

陥没乳頭チェック

▫️乳頭に刺激を与えることで乳首が飛び出してくる
▫️時間が経過すると飛び出していた乳首が元の凹んだ状態になる
⇨仮性の陥没乳頭ですので、手術は自由診療となります。乳首から母乳を直接授乳することができますが、見た目が気になって悩む方もいます。

▫️乳頭をどんなに刺激しても、全く乳頭が出てこない
⇨真性の陥没乳頭です。将来、乳首から母乳を直接授乳することができません。見た目だけではなく機能としても問題がある場合もあります。

陥没乳頭の分類

下記が重症度Gradeの分類(*2)です。
Grade1: 乳頭は平坦であり、手による簡単な刺激によって立ち上がる。
Grade2: 乳頭は乳輪の中に折り込まれていて、手による圧の刺激によって立ち上がる。
Grade3: 乳頭は乳輪の中に折り込まれていて、手による圧の刺激によって立ち上がることが無い。
*2 Plast Reconstr Surg. 1999 Aug;104(2):389-95; discussion 396-7.

しかしながら、実際には上記のみでは分類できないのが実情です。当院では上記に付加して乳頭組織の「萎縮」(*3)等の評価を考慮して分類しております。
*3 J Plast Reconstr Aesthet Surg. 2010 Feb;63(2):e175-6. doi: 10.1016/j.bjps.2009.06.012. Epub 2009 Jul 28.

陥没乳頭の治療法

実際の治療法として、当院で行っている方法が「酒井法」です。

酒井法(Ⅰ法)
乳頭(乳首)を二つに割って、縮まってしまった乳管を皮膚から引き離すことで乳頭の陥没を修正します。形成外科専門医施設である当院で酒井法を行う場合でも、再発のリスクはあると言えます。また、再発を極力なくすためにも術後のケアが非常に重要となりますので、患者さんの協力も必要となります。その際のリスクや可能性、また術前に、再発時にどのような対処方法があるかも、しっかりと説明いたします。

陥没乳頭手術のリスク

①術後の変形:術後に乳頭が変形(coffee-beans様変形)してしまうことがあります。状況に応じて再手術を行うことで対応します。授乳できる形態(形)にすることが目的となりますので、ある程度の変形の可能性をご理解頂いております。

②陥没の再発:陥没乳頭の手術「陥没乳頭形成術」は、再発リスクの高い手術と考えられております。10%の確率で再発するということも言われていますので、慎重に手術を行う必要があります。再発した場合、陥没が強い場合は再度の手術も行います。

③乳頭壊死:稀ですが血流障害が起こり乳頭が一部死んでしまう可能性もあります。

症例紹介

陥没乳頭再発の手術 術前
陥没乳頭再発の手術 術後
症例
陥没乳頭再発の手術
治療内容
再発症例であっても手術は同様に行われます。乳頭を二つに割って入り、縮まってしまった乳管に達した後、異常な乳管を分割および伸展して引き伸ばすことで、高さを得ます。再発症例では組織が固くなってしまっていて損傷しやすいため慎重に分割していきます。その後、横に広げる手法を用いて乳頭自体を大きく、乳頭の陥没を修正していきます。術後には、当院の特殊パッドを用いて保護を行うことで再発予防に努めます。
リスク
術後変形、血管損傷および乳頭下血腫による乳頭壊死の可能性

料金
保険適用(3割負担)

症例を見る

陥没乳頭手術(この症例は中等度の症例) 術前
陥没乳頭手術(この症例は中等度の症例) 術後
症例
陥没乳頭手術(この症例は中等度の症例)
治療内容
乳頭を二つに割って入り、縮まってしまった乳管に達した後、異常な乳管を分割および伸展して引き伸ばすことで、高さを得ます。その後、横に広げる手法を用いて乳頭自体を大きく、乳頭の陥没を修正していきます。術後には、当院の特殊パッドを用いて保護を行うことで再発予防に努めます。
リスク
術後変形、血管損傷および乳頭下血腫による乳頭壊死の可能性

料金
保険適用(3割負担)

症例を見る

萎縮を伴う陥没乳頭の手術 術前
萎縮を伴う陥没乳頭の手術 術後
症例
萎縮を伴う陥没乳頭の手術
治療内容
乳頭を二つに割って入り、縮まってしまった乳管に達した後、異常な乳管を分割および伸展して引き伸ばすことで、高さを得ます。この症例は元々皮膚が足りないため、横に広げる手法を最大限生かして乳頭自体を大きく広げていきます。縦と横に広げて陥没を修正していきます。術後には、当院の特殊パッドを用いて保護を行うことで再発予防に努めます。
リスク
術後変形、血管損傷および乳頭下血腫による乳頭壊死の可能性

料金
保険適用(3割負担)

症例を見る

保険適用対象となる陥没乳頭 術前
保険適用対象となる陥没乳頭 術後
症例
保険適用対象となる陥没乳頭
治療内容
乳頭を二つに割って入り、縮まってしまった乳管に達した後、異常な乳管を分割および伸展して引き伸ばすことで、高さを得ます。その後、横に広げる手法を用いて乳頭自体を大きく、乳頭の陥没を修正していきます。術後には、当院の特殊パッドを用いて保護を行うことで再発予防に努めます。
リスク
術後変形、血管損傷および乳頭下血腫による乳頭壊死の可能性

料金
保険適用(3割負担)

症例を見る

重度の陥没乳頭 術前
重度の陥没乳頭 術後
症例
重度の陥没乳頭
治療内容
乳頭を二つに割って入り、縮まってしまった乳管に達した後、異常な乳管を分割および伸展して引き伸ばすことで、高さを得ます。その後、横に広げる手法を用いて乳頭自体を大きく、乳頭の陥没を修正していきます。術後には、当院の特殊パッドを用いて保護を行うことで再発予防に努めます。
リスク
術後変形、血管損傷および乳頭下血腫による乳頭壊死の可能性

料金
保険適用(3割負担)

症例を見る

陥没乳頭の症例一覧へ

治療の流れ

  • Step.01

    診察

    女性看護師が診察室までご案内します。
    医師か男性であれば、直ぐに診察室より退室します。
    リクライニングシートに横たわり、乳頭を診察するために乳房を出しますが、専用のシートで覆いますので簡単には見られることはありません。
    医師が入室し術前診察を行いますが、これにより乳頭の状態を確認して行きます。医師は乳頭の状態のみを見るように配慮しております。
    診察が終わり次第、医師はまた退室します。着衣が整い、着席したことを確認して、医師は再び入室します。
    術前の状態を重傷度等をスライドを用いて説明しながら、治療方針、治療方法、リスクなど、詳しく説明します。手術を希望された場合、採血を行い、診療を終えます。
    もしも、ご不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。

  • Step.02

    手術(別日)

    女性看護師による案内で、進められていきます。
    術前写真を撮影してデザインを行います。術前写真撮る直前に医師は手術室に入室して来ます。
    局所麻酔を使用しますので、施術中の痛みは殆ど感じません。(※痛みの感じ方には個人差がありますので、非常に稀に痛みを感じる方もいらっしゃいます。)
    麻酔が十分に効いた後に、縮こまった乳管(乳汁を通す管:乳管束・主乳管)を分けるようにして引き延ばします。
    形が出来上がったら、乳頭の根元をしっかりとした吸収糸で縫合した後、皮膚を非常に細い糸を用いて丁寧に縫合していきます。
    術後には再陥没しないように固定具を用いて保護します。
    手術時間は両側か片側か、grade(重症度)か、によって変わりますが1時間程度です。

  • Step.03

    術後

    腫れや痛みなどの状態に応じて休憩後、ご帰宅いただけます。

アフターケア

  • 術後経過

    詳細は女性看護師がやさしく説明してくれます。
    手術翌日に来院して頂き、状態を確認し、フィルムを用いてカバーします。これにより、術翌日からシャワーは可能です。フィルムが剥がれないように優しく洗ってください。
    フィルムによる保護期間は1週間を要します。
    その後にはスポンジパッドや固定具による、保護が3ヵ月程度必要です。緩めのブラを着用すると良いでしょう。

    詳細は女性看護師がやさしく説明してくれます。
    入浴は術後1週間から可能となります。

  • 術後の診察予定

    手術翌日:診察およびガーゼ保護の確認・交換
    (翌日からの1週間はフィルムを用いてのカバーにてシャワー浴可能)
    1週間後:創部の確認、自己処置への誘導
    2週間後:抜糸、固定具へ変更
    1~6ヶ月後:乳頭の状態確認
    9ヶ月後:再発等の確認
    ※術後の通院日程・回数は患者様の状態により若干異なります。

  • 仕上がり

    授乳ができるようになります。
    乳頭周囲に傷跡が薄っすらと残りますが、乳輪内ですからあまり目立ちません。
    仕上がりにわずかな左右差が生じる可能性があります。
    陥没の程度によっては傷の治りが遅くなることがあります。

注意事項

リスク
変形・血腫・再発・壊死
ダウンタイム
術後1週間でガーゼ保護が終了。その後固定具へ変更となります。
シャワー・入浴
シャワーは手術翌日から、浴槽への入浴は術後1週間より可能

ドクターコメント

多くの患者さんが当院を選んで下さっている以上、しっかりとした手術を行うように心がけております。また、仮性である場合(自由診療)も、真性である場合も、手術は同様に行いますから手術のリスクや合併症は同様です。どのようなタイプの方でも手術への理解を頂き、術後の生活上の注意などしっかりと守って頂き、一緒に頑張りましょう。

また、他院で陥没乳頭の手術をされて再発された方の手術も行っております。経験上、手術方法で再発率は変わってきます。当初、当院もハンモック法(三角弁を2枚作成してハンモック状に形成して吊り上げる)を用いていましたが、再発が多いため、現在は酒井法を行っています。できるだけ再発をさせないように工夫をしております。

日本形成外科学会専門医
医療法人社団 聡明会 理事長

田牧 聡志

料金表

陥没乳頭形成術3割自己負担
その他ご相談ください
  • 術式など手術の内容によって料金が異なりますのでカウンセリング時にご相談ください。

よくある質問

Q.乳首がへこんでいます。普通の乳首にできますか。
A.当院で行っている酒井法を用いて手術(乳頭形成術)をすることで、乳首(乳頭)の形を変えることで乳首を作り上げることができます。
Q.費用はいくらですか?
A.2021年4月現在は保険適用の3割自己負担で片側22,050円です。
Q.手術時間はどの程度でしょうか。入院する必要がありますか。
A.当院では正確な手術を追及しておりますので、手術時間には余裕を持たせております。60分程度です。日帰りで手術できますので入院する必要はありません。
Q.術後の再発のリスクはありますか。
A.乳頭形成術では分類により術後の再発率が変わってきますので、はっきりとは言えませんが、再発の可能性があることは事実です。再発を極力減らすため、術後処置への患者さんの協力は欠かせません。
Q.乳首がへこんでいます。何が原因ですか。
A.乳首(乳頭)の深くにある乳管(乳管束・主乳管)が委縮していて縮こまっていることが原因です。