肝斑の内服薬治療|摩擦・紫外線などによる悪化への対策
最終更新日2028.08.28(公開日:2023.05.26)
監修者:院長 田牧 聡志(たまき さとし)
肝斑は摩擦や紫外線などの影響で目立つことがあります
肝斑や色素沈着は、紫外線だけでなく、皮膚への摩擦や圧迫、乾燥、炎症などの刺激によって目立ちやすくなることがあります。
マスクを日常的に使用する方では、マスクが頬に触れることによる摩擦や圧迫、蒸れ、汗などが肌への刺激となる可能性もあります。ただし、マスクを着用したことだけが肝斑の直接的な原因になるとは限りません。
また、一見すると肝斑に見える色素斑でも、老人性色素斑、そばかす、炎症後色素沈着など、別の症状であることがあります。
そのため、色や形、左右の対称性、発生した時期、これまでの治療歴などを確認し、肌の状態に応じて治療方法を選択することが重要です。
肝斑を悪化させる可能性がある主な要因
摩擦や圧迫
マスク、タオル、衣類、手によるこすり洗いなどが繰り返されると、皮膚への刺激となります。
特に、マスクの縁が頬に強く当たる場合や、サイズが合わずに何度もずれる場合は、摩擦が生じやすくなります。
洗顔やクレンジングの際も、肌を強くこすらず、摩擦をできるだけ減らすことが大切です。
蒸れや通気性の低下
マスクを長時間着用すると、マスク内の温度や湿度が上昇し、汗や皮脂がたまりやすくなります。
蒸れた状態と乾燥した状態が繰り返されることで、赤み、かゆみ、肌荒れなどが起こることもあります。肌に炎症が生じている場合は、無理に美白化粧品などを使用せず、まず炎症を落ち着かせる必要があります。
紫外線
紫外線は、肝斑やさまざまな色素沈着を悪化させる要因の一つです。
マスクで覆われている部分でも、素材や厚みによっては紫外線を完全に防げるわけではありません。また、マスクで覆われている部分と露出している部分では、紫外線の当たり方に差が生じることがあります。
マスクを着用する場合も、顔全体に日焼け止めを使用し、汗や摩擦で落ちた場合は塗り直すことが重要です。
汗や皮脂
汗や皮脂が長時間肌に残ると、かゆみや肌荒れの原因になることがあります。
汗を拭く際は、タオルで強くこすらず、清潔なガーゼや柔らかいタオルで軽く押さえるようにします。
生活環境やホルモンの影響
肝斑は、紫外線や摩擦だけでなく、ホルモンの変化や体調、生活環境など、複数の要因が関係していると考えられています。
睡眠不足や強いストレスが続いている場合も含め、生活習慣を整えながら治療を継続することが大切です。
肝斑の内服薬治療
肝斑の治療では、肌の状態や既往歴などを確認したうえで、内服薬を使用することがあります。
内服薬だけですべての肝斑が改善するわけではありません。紫外線対策、摩擦を避けるスキンケア、外用薬、レーザー治療などを組み合わせる場合もあります。
トラネキサム酸
トラネキサム酸は、プラスミンという物質の働きを抑える「抗プラスミン薬」です。
補足
従来の記事にあった「血液を凝固させる働きを持つ薬」という説明は正確ではありません。血液を直接凝固させるのではなく、血栓や血液の固まりを分解する線溶系の働きを抑える薬です。
肝斑治療では、メラニン生成に関係する炎症反応などを抑えることを目的として使用されることがあります。
承認範囲について
ただし、医療用トラネキサム酸の電子添付文書に記載されている国内の承認効能・効果には、肝斑は含まれていません。そのため、肝斑を目的とする内服は承認された効能・効果とは異なる使用となり、医師が必要性や安全性を判断したうえで処方します。
トラネキサム酸を服用できない、または注意が必要な場合
血液の凝固促進作用のあるトロンビンを投与中の方は、トラネキサム酸を服用できません。
また、次のような方は服用前に医師へお伝えください。
- 脳梗塞、心筋梗塞、血栓性静脈炎などの血栓症がある方
- 血栓症を起こす可能性があると指摘された方
- 腎機能が低下している方、人工透析を受けている方
- 手術後などで長期間安静にしている方
- 妊娠中、妊娠の可能性がある方
- 授乳中の方
- 現在服用している薬がある方
- 過去にトラネキサム酸でアレルギー症状が出た方
医療用トラネキサム酸では、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、胸やけ、眠気、発疹、かゆみなどが報告されています。人工透析患者では、重大な副作用として痙攣が記載されています。
市販薬や他院から処方された薬にもトラネキサム酸が含まれていることがあるため、重複して服用しないよう確認が必要です。
ビタミンC
ビタミンCには抗酸化作用があり、メラニンの生成過程に関与すると考えられています。
医療用のビタミンC製剤では、ビタミンCの欠乏または代謝障害が関与すると推定される場合の「肝斑・雀卵斑・炎症後の色素沈着」が効能・効果として記載されている製剤があります。
ただし、効果が認められない状態で長期間にわたり漫然と使用しないことも電子添付文書に記載されています。
副作用として、悪心、嘔吐、下痢などが起こることがあります。また、ビタミンCは尿糖検査、尿潜血検査、便潜血検査などの結果に影響することがあるため、検査を受ける予定がある場合は医師へお伝えください。
サプリメントと医療用医薬品では成分量や使用目的が異なります。自己判断で多量に摂取するのではなく、医師の指示に従って服用してください。
ハイドロキノンやレチノイドなどの外用治療
肝斑や色素沈着の治療では、内服薬以外に、ハイドロキノンやレチノイドなどを含む外用薬を使用することがあります。
ハイドロキノンやレチノイドは、内服薬ではなく、皮膚に塗布する外用薬となります。
外用薬は、赤み、乾燥、かゆみ、皮むけ、刺激感などが生じることがあります。また、肝斑の状態や肌質によっては適さない場合もあります。
自己判断で使用せず、使用方法、使用量、使用期間について医師の指示を受けてください。
内服薬以外の肝斑対策
紫外線対策
季節や天候にかかわらず、日焼け止めを使用します。
屋外で過ごす時間が長い場合や、汗をかいた場合は、必要に応じて塗り直します。帽子や日傘などを併用することも有効です。
摩擦を減らすスキンケア
洗顔、クレンジング、タオルドライの際は、肌を強くこすらないことが重要です。
マスクを使用する場合は、顔の形に合ったサイズを選び、頬に強く食い込むものや、肌の上で何度も動くものは避けます。
美白化粧品・カバー用化粧品
肌の状態に応じて、美白化粧品や肝斑を目立ちにくくするカバー用化粧品を使用することもあります。
赤み、かゆみ、ヒリつきなどがある場合は使用を中止し、医師へご相談ください。
ピコレーザートーニングによる肝斑治療
以前は、肝斑に対するレーザー治療は悪化の可能性があるため避けるべきと考えられていました。
現在は、肌の状態や肝斑の程度に応じて、低出力で照射するピコレーザートーニングなどを治療の選択肢として検討する場合があります。
ただし、すべての肝斑にレーザー治療が適しているわけではありません。照射の出力、間隔、回数、肌の状態によっては、赤みや炎症、色素沈着、肝斑の悪化が起こる可能性があります。
当院では、肝斑の状態を診察したうえで、内服薬、外用薬、スキンケア、ピコレーザートーニングなどから治療方法をご提案します。
内服治療の症例
男性患者様が、約1年間、内服治療を継続した症例です。
この症例では、内服薬以外の肝斑治療は行っておらず、治療の継続によって色調の改善が認められました。
ただし、治療の効果や必要な期間には個人差があります。この症例と同じ結果を保証するものではありません。
治療前

治療後

治療内容
肝斑に対する内服治療
使用した薬剤名・1日量
医院確認後に記載
治療期間
約1年間
診察回数・処方回数
医院確認後に記載
治療費総額または標準的な費用
医院確認後に記載
主な副作用・リスク
使用薬剤に応じて、胃腸症状、発疹、かゆみ、眠気など
トラネキサム酸を使用している場合
血栓症の既往、腎機能、併用薬などを確認したうえで処方
治療結果には個人差があります
肝斑の治療は医師の診断を受けて選択しましょう
肝斑に見える色素斑でも、原因や適した治療方法は患者様によって異なります。
また、内服薬は既往歴、体質、服用中の薬、妊娠・授乳の有無などによって使用できない場合があります。
自己判断で内服薬や外用薬を使用するのではなく、医師の診察を受け、肌の状態に合った治療を選択してください。
当院では、内服治療だけでなく、外用薬、紫外線・摩擦対策、ピコレーザートーニングなどを含め、患者様の状態に合わせた肝斑治療をご提案します。
肝斑やシミが気になる方は、お気軽にご相談ください。
本記事の薬剤情報は、当院で使用する製剤のPMDA電子添付文書を確認して掲載しています。薬剤の適応、禁忌、注意事項、副作用、処方内容は、患者様の状態や使用製剤によって異なります。
薬剤情報確認日:2026年7月23日
確認者:院長 田牧 聡志
