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PRPF療法でほうれい線を根本改善|自己組織再生による長期間の効果とは

最終更新日2025.07.21(公開日:2025.07.21)
監修者:院長 田牧 聡志(たまき さとし)

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ほうれい線の悩みを、その場しのぎではなく根本から解決したいとお考えではありませんか?ヒアルロン酸注射のような充填剤による一時的な改善とは一線を画し、PRPF(b-FGF添加多血小板血漿)療法は、ご自身の血液の力で皮膚組織そのものを再生させ、長期間にわたる自然な改善を目指す再生医療です。

この記事では、ほうれい線に対するPRPF療法の効果とメカニズム、ヒアルロン酸注射との本質的な違いについて、PRPF療法研究会の公式見解に基づき詳しく解説します。施術の流れからダウンタイム、そして最も重要なクリニック選びのポイントまで、治療を検討する上で知っておくべき情報を網羅しました。メスを使わず、自然で長持ちする若返りを実現したい方は、ぜひご一読ください。

ほうれい線の根本原因とPRPF療法が「効く」理由

ほうれい線は、単なる「しわ」ではなく、加齢による顔の構造的な変化が原因で現れる「溝」です。主な原因は、頬を支える皮下組織(脂肪やコラーゲン)の減少と、皮膚自体のハリ・弾力の低下です。

齢と共に皮膚の土台である組織がやせ細り、皮膚がたるむことで、頬の重みがほうれい線となって深く刻まれてしまいます。
従来のヒアルロン酸注射は、この溝をジェル状の物質で埋めて「見えなくする」対症療法でした。一方、PRPF療法は、失われた組織そのものを再生させることで、ほうれい線の原因に直接アプローチします。

PRPF療法が効果的な理由は、ご自身の血液から抽出した多血小板血漿(PRP)に、組織の再生を強力に促す成長因子「b-FGF」を添加して使用する点にあります。これにより、ご自身の力でコラーゲンや脂肪組織の再生を促し、皮膚の土台からふっくらと若返らせることが可能なのです。人工物ではないため、アレルギーの心配が極めて少なく、安全に根本的な改善が期待できます。

PRPF療法のメカニズム|組織が再生する仕組みとは

PRPF療法は、人間が本来持つ「創傷治癒能力」を応用した最先端の再生医療です。その名称は、Platelet-Rich Plasma(多血小板血漿)に線維芽細胞増殖因子(Fibroblast Growth Factor)を加えることに由来します。

PRPF(b-FGF添加多血小板血漿)とは

患者様ご自身の血液を採取し、遠心分離機で血小板を高濃度に濃縮したもの(PRP)を抽出します。このPRPに、組織再生の鍵となる成長因子**「b-FGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)」を厳密な濃度管理のもと添加**したものが「PRPF」です。
※「PRPF」は、ジョイアクリニックの登録商標です。

治療のメカニズムは以下の通りです。

1.注入とゲル化

ほうれい線の溝となっている皮膚の下にPRPFを注入します。PRPFは注入後、自身の血液成分によってゲル状に固まり、その場に留まります。

2.成長因子の放出

PRPに含まれる多数の成長因子と、添加されたb-FGFが相乗効果を発揮し、組織の再生プロセスを開始させます。

3.組織の再生

線維芽細胞の増殖

コラーゲンやエラスチンの産生が活発になり、皮膚にハリと弾力が蘇ります。

脂肪組織の再生

脂肪細胞が増殖し、加齢によって失われたボリュームが回復します。

血管の新生

新しい毛細血管が作られ、組織への栄養供給が改善し、健康で若い状態の肌が維持されます。

この再生プロセスは、注入後2週間から始まり、1ヶ月から3ヶ月かけてゆっくりと進みます。人工的な物質で埋めるのではなく、ご自身の組織として再構築されるため、極めて自然な仕上がりと長期的な効果が実現できるのです。

【比較】ヒアルロン酸注射とPRPF療法の決定的違い

ほうれい線治療として広く知られるヒアルロン酸注射とPRPF療法は、注射による治療という点は同じですが、その目的と結果は全く異なります。

項目PRPF療法ヒアルロン酸注射
原理自己組織の再生を促す(再生医療)ヒアルロン酸(ジェル)で
溝を埋める(充填)
主成分自己血液(PRP
+成長因子(b-FGF
人工的に合成されたヒアルロン酸
効果の現れ方2週間後から徐々に現れ、自然に完成注入直後から効果を実感できる
(即時性)
持続期間4年以上
(自己組織のため半永久的とも)
約半年〜2年
(体内に吸収され元に戻る)
仕上がり自分の組織なので極めて自然。
表情に連動する。
注入量や技術により
不自然になるリスクがある。
安全性自己血液のためアレルギー・
拒絶反応のリスクが極めて低い
異物であるため、稀にアレルギーや
塞栓のリスクがある。
費用対効果初期費用は高めだが、
持続期間が長いため長期的には◎
1回あたりの費用は安いが、
維持には反復が必要。

根本的な改善と長期的な効果を望むならPRPF療法、イベント前などですぐに効果が欲しい場合はヒアルロン酸注射、というように目的によって選択肢が異なります。

PRPF療法でほうれい線はどこまで改善する?効果と持続期間

PRPF療法による改善効果には個人差がありますが、多くの場合で高い満足度が得られています。

改善の程度

軽度〜中等度のほうれい線であれば、シワが目立たなくなり、若々しい印象を取り戻せます。深く刻まれたほうれい線でも、溝が浅くなり影が薄くなるなど、顕著な改善が期待できます。完全に消すというよりは、「5〜10歳若返ったような自然な仕上がり」が目標となります。

効果の発現と完成

注入直後は麻酔やPRPFの水分量で膨らみがありますが、これは数日で引いていきます。その後、2週間から組織の再生が始まり、1ヶ月から3ヶ月ほどかけてゆっくりと効果が完成していきます。

持続期間

一度再生された組織はご自身の体の一部となるため、その効果は平均4年以上と非常に長く持続します。急に元に戻ることはなく、加齢とともに緩やかに変化していきます。

ほうれい線へのPRPF療法の流れと所要時間

実際の治療は、カウンセリングからアフターケアまで含めて計画的に行われます。

1.カウンセリング

医師がほうれい線の状態を診察し、PRPF療法が適しているか判断します。期待できる効果やリスクについて十分な説明を受け、納得した上で治療を決定します。また、血液中に適正な血小板濃度であるかを測定し最終的に決定していきます。

2.採血

治療に必要な血液(ほうれい線の場合、約20〜30cc)を採血します。

3.PRPFの作製

採血した血液を遠心分離機にかけ、PRPを抽出。そこにPRPF療法研究会が定めたプロトコルに基づき、厳密に計量したb-FGFを添加してPRPFを完成させます。この工程に約30~60分かかります。

4.麻酔

注入部位にクリームによる表面麻酔を行います。痛みが心配な方には、他の麻酔方法も選択できます。

5.注入

麻酔が効いたのを確認し、極細の針を使ってほうれい線の皮膚の下に丁寧にPRPFを注入していきます。注入自体の時間は15~30分程度です。
カウンセリングから注入完了までの総所要時間は、約1時間〜1時間半です。

治療後の経過とダウンタイムについて

PRPF療法はメスを使わないため、体への負担が少なく、ダウンタイムが短いのが特徴です。

腫れ

治療後、注入部位に腫れが生じます。これは正常な反応で、通常3日〜1週間ほどで落ち着きます。特に起床時に目立つことがありますが、徐々に引いていきます。

内出血

稀に点状の内出血が出ることがありますが、1〜2週間で自然に消え、メイクでカバーできる程度です。

痛み

注入時の痛みは麻酔で緩和されますが、注入時に痛みがあります。術後、痛みは緩和していきます。

日常生活

洗顔やメイクは当日から可能です。ただし、血行が良くなる長時間の入浴、激しい運動、飲酒は、腫れを助長する可能性があるため、数日間は控えることが推奨されます。

PRPF療法のリスクと治療を受けられないケース

PRPF療法は安全性の高い治療ですが、リスクがゼロではありません。また、すべての方が受けられるわけではありません。 考えられるリスク

しこり・膨らみすぎ

過去、b-FGFの添加量が多すぎたために、組織が過剰に増殖し、しこりや不自然な膨らみとなるケースが報告されました。しかし、**PRPF療法研究会では、臨床データに基づき「しこりを作らず、安全で効果的なb-FGFの至適濃度」を確立しています。**このプロトコルを遵守することで、リスクは最小限に抑えられます。

感染

どの注射治療にも共通するリスクですが、衛生管理が徹底された医療機関ではまず起こりません。

左右差、効果不足

注入技術や個人の体質により、稀に起こる可能性があります。

治療を受けられない方

  • 妊娠中、授乳中の方
  • がん治療中の方、またはその既往歴がある方
  • 重篤な血液疾患、自己免疫疾患をお持ちの方
  • 血液をサラサラにする薬(抗凝固薬など)を服用中の方(医師との相談が必要)

失敗しない!ほうれい線治療のクリニック選び最重要ポイント

PRPF療法で満足のいく結果を得るためには、クリニック選びが最も重要です。以下の点を必ず確認してください。

1.PRPF療法研究会に所属する正規のクリニックか

これが最も重要なポイントです。研究会では、安全性と効果を最大化するための厳格なプロトコル(手順)が定められています。正規のクリニックは、このプロトコルを遵守して治療を行っています。

2.安全なプロトコルを遵守しているか

カウンセリングの際に、以下の点を確認しましょう。

b-FGFの濃度管理

「PRP 1ccに対し10μg」という至適濃度を守っているか。

白血球の除去

炎症の原因となる白血球を含まないPRPを作製しているか。

塩化カルシウム不使用

しこりのリスクとなる塩化カルシウムを使用していないか。

3.医師の経験と技術

形成外科や美容外科の経験が豊富で、顔の解剖を熟知している医師を選びましょう。症例数が多く、カウンセリングでメリットだけでなくリスクも正直に話してくれる医師が信頼できます。

4.アフターフォロー体制

術後の経過観察(例:2週間後、1ヶ月後の診察)をしっかり行い、万が一の際に迅速に対応してくれる体制が整っているかを確認しましょう。

まとめ:自然で長持ちするほうれい線改善を目指して

PRPF療法は、ヒアルロン酸注射のような一時的な充填療法とは異なり、ご自身の組織を再生させることでほうれい線を根本から改善する再生医療です。 自己血液を用いるため安全性が高く、一度再生された組織は長期間にわたって効果を持続させるため、自然な仕上がりを長く保ちたいと考える方に最適な治療法と言えるでしょう。

ただし、その効果と安全性は、b-FGFの濃度管理をはじめとする厳格なプロトコルの上に成り立っています。治療を検討される際は、必ず「PRPF療法研究会」の情報を確認し、正規のプロトコルを遵守する信頼できるクリニックで、十分なカウンセリングを受けてください。
ほうれい線の悩みから解放され、自信に満ちた若々しい笑顔を取り戻すために、PRPF療法という選択肢をぜひご検討ください。

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