傷跡修正について(保険適用・自由診療)

傷跡修正はけが・手術・リストカット・根性焼きなどの傷跡を目立たなくする治療です。
けが、やけど、手術などで皮膚の真皮層まで損傷があると皮膚に傷跡として残ります。
傷跡は完全には消えませんが、目立つものや変形、ひきつっているものなどは形成外科の技術を用いて目立たなくすることができます。
リストカットや根性焼きの跡などは、やけど跡のように修正することもできます。
傷跡修正は保険診療・自由診療があります。保険適用になるかどうかは傷跡の原因等から医師が判断します。


傷跡治療・修正のポイントは3つあります。
①どの部位に傷跡があるのか
②大きさはどの程度か
③どの様な過程で傷跡になったのか

この3つのポイントは治療の方針を決めるのに非常に重要となります。

部位や大きさ、そして色などを評価しながら、時には性別を考慮して
単純切除術、シリアル切除術、アブレージョン(削皮術)、等の方針を患者様にご提案して決定していきます。

関節部位の場合や、非常大きな面積の場合には、医師を選ぶ際に注意が必要です。
関節の動きが悪くなり生活に支障があったり、大きな面積を一度に手術して、脱水症状に陥り命の危険を冒したりします。
医師の術前評価や医師の技術が非常に重要です。

こんな方におすすめ

  • 手術の傷あとが気になる
  • リストカット跡で悩んでいる
  • タトゥー除去の傷あとをきれいにしたい
  • けがで傷跡が残ってしまった
  • ピアスで耳たぶが裂けてしまった
  • 形成外科専門医に治療して欲しい

切除術(一部保険診療)

傷跡を直接切り取る方法です。

傷跡が入った皮膚をデザインに沿って切り取ってきれいに縫合します。少ない手術回数で傷跡を確実に消すことができます。 小さい傷跡を確実に除去したい場合にはお勧めです。

単純に切除縫合と言っても、当院は大学病院等で長年修練した形成外科専門医が行いますので、縫合方法は特別です。 当院では、形成外科特有の縫合方法である「真皮縫合」を用いておりますので、術後しばらくした後の傷の状態が単純な縫合方法とは違ってきれいに目立たなくなってきます。

リスク:腫れ・内出血。

<お知らせ>
ケロイド等で、再発を抑制するための電子線照射を必要とする場合は、都立墨東病院放射線科と連携して治療を行っております。

アブレージョン(削皮術)

アブレージョン(削皮術)は形成外科特有の採皮刀やCO2レーザーを用いて、傷跡(瘢痕)を削り取ります。一度の手術で、広範囲(体表面積数%まで)の傷跡を取り除くことができます。削った後の皮膚は新しい皮膚が再生するのを待ちます。 結果として新たに熱傷(やけど)のような傷あとを作ることになります。「切除法」のように縫合した傷あとが残ることもありません。広範囲に広がった傷あとを、できるだけ少ない治療回数で消したい場合には、お勧めの治療法となります。

植皮術

切除した部位に別部位から採取した皮膚を移植する方法が「植皮」です。
「植皮」は、全層植皮と分層植皮があります。
①全層植皮:面積は狭いが簡単に(単純に)切除することが難しい指や手背(手の甲)の傷跡(瘢痕)を一度の手術で取り除くことができます。
②分層植皮:肩甲骨を覆うようにあるようなや比較的広範囲におよぶ傷跡(瘢痕)を一度の手術で取り除くことができる効果的な方法です。
しかし、皮膚の採取部位(採皮部)が損傷することによるため、採皮部位など慎重に検討をしないといけません。傷跡の面積が広がっていても傷の数が少ない場合には「戻し植皮」も可能ですので、受診の上、決めていきます。研鑽を積んだ形成外科医専門医ならではの手法であり、高い技術を要します。特に手周囲を扱う場合は、手外科を専門に学ぶ必要があり、非常に高い知識が問われる手技です

ニキビ跡治療

ニキビ跡へは、アンコアレーザーの「ブリッジセラピー」と言われる手法を用います。アンコアによる強いレーザーで皮膚にダメージを与え、皮膚が自然と再生する力を利用してニキビ跡などの皮膚の悩みを解決する治療法です。
DeepとActive、2種類のスキャニングレーザーを用いてニキビの凸凹を目立たなくしていきます。
ダウンタイム:2日〜3日。当日はメイク・シャワー・入浴はできません。

症例紹介

唇に怪我をしてしまったのを病院で治療せずに放置して傷跡になってしまった症例です。
下くちびるのくぼんでいる帯状の瘢痕組織を切除して、正面から見えない部位に小細工(専門的にはZ-plastyZ形成)を加えます。縫合は溶ける糸で丁寧に合わせていきます。

下唇の傷跡修正(保険診療) 術前
下唇の傷跡修正(保険診療) 術後
術前と術後の比較
症例
下唇の傷跡修正(保険診療)
治療内容
下くちびるのくぼんでいる帯状の瘢痕組織を切除して、正面から見えない部位にZ-plastyZ形成を加えます。
リスク
痛み・出血、予期せぬひきつれが生じる可能性もあります。
費用
保険診療

下口唇の外傷後変形治癒(保険診療)の経過

  • 術前

    術前

  • 傷跡修正のデザイン

    傷跡修正のデザイン

    くぼんでいる帯状の瘢痕組織を切除して、正面から見えない部位に小細工(専門的にはZ-plastyZ形成)を加えます。縫合は溶ける糸で丁寧に合わせていきます。

唇の傷跡修正

傷跡を切除することで、痛みや出血を伴います。唇は血流が豊富ですから、出血が一番可能性があります。術後にも瘢痕が生じますが、予期せぬひきつれが生じる可能性もあります。

傷跡修正の症例紹介一覧へ

治療の流れ

  • Step.01

    診察(切除術、植皮術およびアブレージョン(削皮術)の場合)

    医師によるカウンセリングを行います。ご不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。
    治療方針、治療方法、リスクなど、詳しく説明します。
    術前診察は、傷跡の状態を詳細に把握していきます。

    単純に大きさだけではなく、部位毎の面積や皮膚の曲げ伸ばしなどに応じて、単純切除(1回で切除する)が不可能な大きな場合は、回数を分けて行うシリアル切除術やアブレージョン(削皮術)を考慮します。
    その際、料金が確定しますが、当院では手術の回数ではなく、大きさで手術の料金が決まります。

    術前写真:手術のプランを計画するために撮影します。

  • Step.02

    デザイン:(切除術、植皮術およびアブレージョン(削皮術)の場合)

    状況に応じて、関節などの動きに影響がないよう(関節可動域に影響を与えない)に手術を計画していきます。植皮術では、採皮部が必要となります。部位によっては目立ってしまうので、話をして慎重に決定していきます。
    また、アブレージョン(削皮術)では、面積に応じて手術回数を分けますので、手術の分配をしっかり行います。

    <ポイント>
    熱傷診療や手の外科診療を多く経験している院長ならではの、デザインのポイントが重要となります。

  • Step.03

    手術

    手術時間は30分から180分です。大きさにより異なります。
    局所麻酔を行います。

    面積が大きな場合は、麻酔クリームを塗布して表面麻酔をした後、非常に短い3本針の注射針を用いてゆっくり行っていきます。この注射は痛みが少ないと非常に好評です。
    両腕で、かつ面積が大きい場合は、腕の付け根に麻酔をする、ブロック注射を行うこともあります。

    ※ 全身麻酔を希望される患者さんは、麻酔科専門による麻酔を受けることができます。(費用は別途必要となります)

  • Step.04

    手術後

    術後はできるだけ処置がなく痛みが伴わないような、形成外科診療で培った、ドレッシング材による処置を行っております。
    簡単な切除術の多く場合は、フィルム剤を用いて術後1週間までは何も必要がないことが多いです。
    面積の大きなアブレージョン(削皮術)の場合は、非固着性ガーゼを用いて、苦痛を最小限にするようにします。

    腫れや痛みなどの状態に応じて休憩後、ご帰宅いただけます。

アフターケア

  • 術後経過

    術後はできるだけ処置がなく痛みが伴わないような、形成外科診療で培った、ドレッシング材による処置を行っております。
    簡単な切除術の多く場合は、フィルム剤を用いて術後1週間までは何も必要がないことが多いです。
    面積の大きなアブレージョン(削皮術)の場合は、非固着性ガーゼを用いて、苦痛を最小限にするようにします。

  • 日常生活

    ダウンタイム:腫れは1週間程度、内出血してしまった場合は気にならなくなるまで約2週間程度かかります。
    シャワー:当日もしくは翌日から可能です。さっと浴びる程度にしましょう。

    当院では、術後の経過をしっかりと追って行きます。トラブルが無い様にしっかりと診療をします。
    (状況に応じて、術翌日)術後1週間、術後1か月、3か月、6か月

注意事項

リスク
腫れ・内出血・感染症
ダウンタイム
約1週間

ドクターコメント

傷あとの修正は保険診療と自由診療があります。けがの傷あとの変形治療やピアスによる耳たぶの損傷などは保険診療となります。皮膚の表面をきれいに形成するのが形成外科です。形成外科特有の傷の縫い方である「真皮縫合」は習得するのには研修病院で5年程度かかります。傷あと修正は形成外科の専門分野ですので形成外科専門医にお任せください。

日本形成外科学会専門医
医療法人社団 聡明会 理事長

田牧 聡志

料金表

傷跡切除(4㎠まで)¥82,500
傷跡切除(9㎠まで)¥165,000
傷跡切除(25㎠まで)¥330,000
傷跡除去(削皮(アブレージョン))A8サイズ(7.5×5cm)程度¥297,000
傷跡除去(削皮(アブレージョン))A6サイズ(15×10cm)程度¥594,000
傷跡除去(削皮(アブレージョン))A4サイズ(30×20cm)程度¥1,050,000
植皮術 9㎠まで¥660,000
  • 術式など手術の内容によって料金が異なりますのでカウンセリング時にご相談ください。
    大きさの単位は1cm刻みです(例:実測 3.5cm は 4cm となります。)
    分割手術の際(手術回数に数回に分ける場合)は、手術毎に別途¥33,000を要します。

よくある質問

Q.料金はどのように計算されるのですか
A.当院では大きさを基準に料金を決めております。√(ルート)を用いた計算方法で、下記の計算式で決まります。
(例:√(4×4)= 4 とします。)

例1.切除で、単位面積を 5cm×5cm(25㎠)としている場合の計算式
10cm×20cmで二の腕の場合:料金合計= (√(10×20÷25))×180,000 = ¥560,027

例2.アブレーションで、単位面積を 7.5cm×5cm(37.5㎠)としている場合の計算式
30cm×20cmで背中の場合:料金合計= (√(30×20÷37.5))×198,000 = ¥792,000

となります。
Q.ピアスの穴について質問です。いくつかピアスをあけているんですが、一番下の部分が裂けてしまいました。6月ごろから少しづつ就職活動が始まりますので、それまでに治したいと思います。治療可能ですか。治療にはどれくらい費用がかかるか教えてください。
A.就職活動が始まる前までに傷が目立たないようにするには、計画的に治療を行わなければまりませんね。傷あとが目立たなくなるには3~6カ月かかります。それを目安に治療をお考えになってはいかがでしょうか。ピアスホールが裂けてしまった部分も、ピアスホールを閉じることも治療可能です。費用は修正範囲により異なりますが、保険診療で20,000円~になります。
Q.ピアスの穴が裂けました。重いピアスが原因だと思います。ピアスの穴を治したいです。
A.ピアスホールの裂けた傷跡は、手術にて修正可能です。 手術は局所麻酔で行います。裂けた部分は工夫を加えてしっかりと縫い合わせることができますが、縫い合わせた痕はうっすらと残ります。再度ピアスを開ける際には、開ける部位に注意する必要があります。
Q.リストカットの傷跡が複数あって悩んでいます。
A.当院ではリストカットの傷跡修正も扱っております。リストカットの傷あとをやけど跡にするという修正もおこなっておりますので、まずはご相談ください。
Q.他院でタトゥー切除の手術をしましたが、切除手術の傷あとが目立ちます。修正できますか?
A.手術の傷あと修正も扱っております。形成外科医特有の傷の縫い方で傷跡が目立たないようになります。