真性女性化乳房を治療して20代の青春を取り戻す
最終更新日2023.2.7(公開日:2020.09.23)
監修者:院長 田牧 聡志(たまき さとし)

片側(左側)の真性女性化乳房の患者様が来院されました。
彼は20歳で片側だけ乳房が膨らんでいます。
青春を返せ!と叫びたい声が聞こえてくる症例です。
真性乳房の原因
原因はほとんどの場合は不明です。
思春期のホルモンバランスが影響してしまうようで、生理的なもの、薬剤性、続発性、特発性などがあり、乳腺組織でのエストロゲン(女性ホルモン)とアンドロゲン(男性ホルモン)のアンバランスが病態とされています。
海外の報告では、有病率は約3割と多く、日本でのデータはありませんが、お困りの男性も多いと思います。
症状と徴候
ほとんどの場合は症状はないようです。一部の方では、胸部の痛み、腫脹や異物感です。
また、外見に対する精神的な苦痛などがあります。
診断
– 超音波診断
– MRI画像診断
鑑別診断としては、乳がんや偽性女性化乳房であり、片側の場合は、特に乳がんを否定する必要があります
術前検査
病因の検査:
一般的な感染症などの術前検査に加えて、採血検査では、肝機能・腎機能、甲状腺ホルモン、性腺ホルモン(男性・女性ホルモン)等を確認します。
また、内出血による血腫を予想するためにも、血液の凝固機検査を行うこともあります。
治療
乳腺切除(健康保険での手術名称として「乳房切除術」「皮膚皮下腫瘍切除術」):手順は以下のとおりです。
①胸部全体の写真撮影:3方向からの写真撮影
②デザイン:乳輪下に沿って切開線をデザイン(2-3cm程度)
③局所麻酔(浸潤麻酔法):しっかりと時間を掛けて行います。これにより痛みを抑えることができます。
④切開から乳腺の剥離~摘出
⑤廃液用ドレーンの挿入:小さな乳腺の場合は簡易なペンローズドレーンを使用し、大きな乳腺の場合はJ-VACドレーンなど吸引型のドレーンを使用します。
⑥創部の縫合:吸収糸を用いて縫合します。抜糸は行いません。
⑦創部の保護
⑧圧迫固定
術後の副作用
圧倒的に多いのは内出血による血腫です。術後の形態に影響も与えかねないため、しっかりとした予防策を取ります。
創部がみみず腫れのような肥厚性瘢痕になってしまった場合は、追加で切除する可能性もあります。
術後の病理検査
切除された乳腺は病理専門医に送り、詳細に検査をしてもらいます。
要点
左右差があり、一目瞭然な真性女性化乳房の片側症例ですが、このままの状態で受診まで、一般外科や乳腺外科で、疾患として扱われることもなく放置されている場合や、時間が経てば無くなりますと一蹴されることもあるようです。
しかしながら、吸収されることもあるようですが、かなりの時間を要するため、社会生活に支障をきたすこともあるため、当院では切除することをお勧めします。
女性化乳房の治療法ページはこちらです。
コラム:筋トレで鍛えたからだの女性化乳房
コラム:女性化乳房の手術で一番大事なこと
症例:片側の真性女性化乳房
治療内容:乳房切除術。乳輪周囲を切開し乳腺を切除します。
リスク:切除ですので傷ができますが、乳輪に沿ってデザインするのでほとんど目立ちません。場合により切開線維沿って切開線が白っぽくなることもあります。血種と言って、出血が固まった場合は、翌日に除去する必要もあります。その場合は、切開線が傷んでしまい、傷跡が目立ってしまうこともあります。大きさにより血種除去のためのドレーンと言う管を入れることもあります。
費用:保険診療