自然な二重まぶたの作り方 – 理想に近づくためのポイントと技術
最終更新日2023.6.22(公開日:2023.04.10)
監修者:院長 田牧 聡志(たまき さとし)
ティーズクリニックにいらっしゃる方のほとんどが「自然な二重を希望します」と言います。
ティーズクリニックの症例のほとんどが、二重腺はできるだけ、本人の生まれ持ったラインを外さないようにし、また、縫合を丁寧にすることで、分かりにくいラインを作り上げているからだと思います。
自然とは?
自然な二重とはいったい何なのか・・・
ひとりひとりに合った二重まぶたの形成
瞼の内側の形態は、「末広型」「平行型」、それらの中間の形態の「中間型」、を言いますが、目頭の形態(蒙古襞の形や角度)に合わせて、患者さんが本来持っている形を尊重することです。
右目は平行になりやすく、左目は末広になりやすいのが一般的なようです。
必ずしも、「はい!あなたはこれね!」と、決まるものではないですが、一般的な傾向として、幅が広くなるにつれて平行型になりやすいようです。
逆に、幅の狭い平行型は作りにくい可能性があり、その症例にとっては不自然となるようです。
そのような希望がある場合は、できるだけ印象を変えない様な内眼角形成(目頭切開)を考慮することも必要でしょう。
本来持っているラインを尊重
瞼の形態では、子供たちが学校で行う長縄跳びがわかりやすいです。
長縄跳びを回す時のように、奇麗な弧を描くようなラインをイメージして頂きたいです(Fig.1)。
個々それぞれの瞼には何本かの奇麗な孤がありますが、それはなぜでしょうか。 瞼を開ける(開瞼)ためには、瞼を開ける筋肉である上眼瞼挙筋が収縮することから始まります。
「上眼瞼挙筋が収縮する ⇒ 挙筋腱膜に伝わる ⇒ 瞼板を引き上げる ⇒ 上眼瞼(上まぶた)が上がる」 となりますが、そこに図の様に枝が出てきているのです(Fig.2の小さな矢印)。
枝と言っても、横から見ているので、実際には枝ではなく、非常に薄い膜が伸びているのです。膜は何枚もあり、今取り上げた、それぞれの孤にむかって近くの眼輪筋に付着していて、強い膜が固定された部位にラインが形成されるようになっています(Fig.2の大きな矢印)。
弱い膜が強い膜を挟むように存在していて、たとえば、目をこすった際に別のラインに二重腺が出現するのはそのためだろうと思われています。
本来備わっているラインとは、この事なのです。 自然なラインを希望するのであれば、これらのラインに沿って行うことになるのです。弱いラインに沿って希望するのであれば、そこを強化するように手術を行えば、最小限の変更で、奇麗な二重を作ることが可能なのです。それ以外のラインで行うことは原則、お勧めしないのです。
無理のない範囲での皮膚の切除
顔のパーツの中でもっとも動くのが瞼でしょうか。動きやすく作られている瞼の皮膚には元々余裕が有るように出来ています。ですので、瞼の皮膚はある程度得であれば切除しても全く問題ないのです。
むしろ、すっきりとしたラインを希望する場合は、たるんでしまっている皮膚を切除しておいた方が良いのです。 診察の際には、形をシミュレーションしますが、その際に大抵の方は皮膚のだぶつきが生じます。
一重の方の多くは、皮膚が余っている傾向が多いからだと思います。まつ毛の生え際が見える様にするためにも、だぶつきを無くしてしまう必要もあるのです。
切開・剥離・縫合技術:その前にデザイン
自然な形を作り上げるのに必要な技術とはどういうものなのでしょうか。
実は、第一に来る技術で重要なのがデザインなのです。形成外科医にとって、デザインは非常に重要です。「段取り8分仕事2分」と言うことわざがある様に、段取りであるデザインで結果はほぼ決まってきます。
このコラムの意味はデザインのためのコラムでもありますが、ここで言うデザインは、手術の前に患者さんの瞼の皮膚に書き上げる、切るためや固定するために必要な詳細な線や点を描くことを意味しています。
そして、そのデザインに沿って正確に切れる能力はもちろん大事です。瞼の皮膚は前にも取り上げましたが、非常に良く動くので、柔らかく他の皮膚と比べると非常に切り難いのです。
ですので、正確に切るのは非常に難しく、元来の器用さと経験が非常に重要です。 その後、手術に重要な切離や剥離作業、また、最後に行われる縫合作業も、それぞれコツがあると思います。
(意外に重要!)ふさわしい二重幅
自然な二重でもう一つ重要なことがあります。見た目の二重幅です。
幅広の二重は日本人、東アジア人には向きません。西洋人にみられる幅広いラインを私たちにしてしまうと、「どうしたの?眠そうだね。」と眠そうな印象を与える瞼となってしまいます。
瞼の開き具合(瞼裂と言い、開瞼幅のことを指します)に応じた幅で、ふさわしいと言われている10~30%の範囲に抑える様にした方が良いのです。
デルブーフ(Delbouef)錯視と言う、錯覚をご存知でしょうか。
Fig.Aでは、ある程度の範囲であれば、目が大きく印象付けることができることがわかります。一方、Fig.Bの様に二重が大きすぎると、瞼の開きが不十分なような錯覚を与えてしまいます。ですので、必要以上に大きな二重はマイナスになってしまうのです。
Fig. A Delbouef錯視により左が大きい印象を与える
Fig. B Delbouef錯視により左が小さい印象を与える
瞼は、二重幅は、動きの中でも威力(アイライン効果)を発揮しますから、決して大きなラインがすべてではないことをご理解いただきたいのです!
(参照文献:「二重まぶたで目が大きく見える錯視効果」)
番外編:目頭切開はどうする?それは自然なのか?
また、よく言われるのが目頭切開です。これは「不自然な場合が多い」と個人的には思っています。
目頭切開(内眼角形成術)に関しては、鼻の大きさや目の全体の大きさバランスなどを考えて行う方が、より自然になると思います。 横方向にだけ目を大きくしても、決して目が大きくてきれいな顔になるという訳ではないです。
愛らしい目から、突然厳しいシャープな目の印象を与えてしまうことになるからです。
確かに、平行型を希望する場合には、最小限で目頭切開を行って、平行型のラインを作り上げる必要もあるあります。(2021年現在、当院のスタッフに行ったところです) ご希望がある場合は、全てを術前に診察・確認してから、細心の注意を払いながら、時間に余裕をもって行うことが良いかと思います。
二重整形に関するページ