PRPF治療で膨らみすぎた場合の対処法と原因|適切な施術選びのポイント
最終更新日2025.08.14(公開日:2025.08.14)
監修者:院長 田牧 聡志(たまき さとし)

PRPF治療を受けた後に「思ったより膨らみすぎてしまった」「腫れなのか効果なのか分からない」と不安を感じていませんか?PRPF療法は自分の血液を使った安全性の高い再生医療として注目されていますが、施術後の経過や結果について正しい知識を持つことが重要です。
この記事では、PRPF治療後の膨らみすぎについて、その原因や対処法、適切な施術を受けるためのポイントを専門的な視点から詳しく解説します。施術を検討中の方も、すでに治療を受けた方も、安心して治療に向き合えるよう、医学的根拠に基づいた正確な情報をお届けします。
PRPF治療とは何か?基本的な仕組みを理解する
PRPF(Platelet Rich Plasma with Fibroblast growth factor)治療は、患者様自身の血液から抽出した多血小板血漿(PRP)に線維芽細胞増殖因子(b-FGF)を添加した再生医療です。この治療法は、人間が本来持っている創傷治癒機転を生理的に再現することで、組織の再生を促進します。
血小板は様々なサイトカイン(細胞間伝達物質)を含んでおり、組織にダメージが生じると凝集してこれらの成長因子を放出します。PRPF治療では、この自然な治癒プロセスを利用して、注入部位で約1ヶ月かけて軟部組織(主に脂肪組織)を再生させることができます。
注入されたPRPFは液体状態から瞬時にゲル化し、局所に留まって生理的反応を引き起こします。このメカニズムにより、ヒアルロン酸などの人工的な充填剤とは異なり、自分の組織として自然な仕上がりを実現できるのが特徴です。
PRPF治療後の正常な経過と膨らみすぎの見分け方
PRPF治療後の経過を正しく理解することは、膨らみすぎかどうかを判断する上で非常に重要です。
正常な経過では、以下のような変化が起こります:
施術直後から1週間
施術直後は注入による腫れが生じます。これは正常な反応で、特に目の下などデリケートな部位では腫れが目立ちやすい傾向があります。痛みはほとんどありませんが、軽度の内出血を伴うことがあります。腫れは1週間で約8割が消失します。
2週間目
腫れがほぼ引いた状態になり、注入量が適切であったかどうかが確認できるようになります。多くのクリニックでは、この時期にフォローアップの診察を行います。
1ヶ月目
この時点でPRPFは完全に脂肪組織へと再生され、注入部位との境目も分からなくなります。自然な状態が完成し、この状態が平均約4年間持続します。
膨らみすぎかどうかを判断する際は、2週間目以降の状態を基準に考える必要があります。1週間以内の腫れを膨らみすぎと誤解しないよう注意が必要です。
なぜPRPF治療で膨らみすぎが起こるのか?主な原因
PRPF治療で膨らみすぎが生じる原因はいくつか考えられます。適切な施術を受けるためにも、これらの原因を理解しておきましょう。
注入量の問題
最も一般的な原因は、注入量が多すぎることです。患者様の希望や骨格、既存の組織量を十分に考慮せずに過度な注入を行うと、不自然な膨らみが生じる可能性があります。経験豊富な医師であれば、適切な注入量を見極めることができます。
b-FGFの添加量の不適切さ
b-FGF(線維芽細胞増殖因子)の添加量が適切でない場合、過剰な組織再生が起こる可能性があります。研究に基づく適正な添加量は、PRP1ccに対してb-FGF10μgとされており、この比率を守ることが重要です。
血小板濃度の問題
PRPの血小板濃度が高すぎる場合も、予想以上の効果が現れることがあります。濃縮した適切な血小板濃度は1μl当たり100万~200万個とされており、この範囲を超えると過剰反応を起こす可能性があります。
個人差による反応の違い
同じ施術を行っても、個人の体質や組織の反応性により、期待以上の効果が現れる場合があります。特に若い方や代謝の良い方では、組織再生が活発に行われる傾向があります。
膨らみすぎた場合の対処法と治療オプション
もしPRPF治療後に膨らみすぎてしまった場合でも、適切な対処法があります。重要なのは、早期に専門医に相談することです。
ステロイド注射による修正
1ヶ月以内(理想的には2週間以内)であれば、ステロイド注射によってボリュームを減らすことが可能です。これは比較的安全で効果的な方法で、多くの場合、満足のいく結果を得ることができます。ただし、この処置は経験豊富な医師による適切な判断と技術が必要です。
経過観察による自然な変化
軽度の膨らみすぎの場合、時間の経過とともに自然に落ち着くことがあります。組織の成熟過程で、初期の膨らみが適度に落ち着く場合があるため、担当医と相談の上で経過観察を選択することもあります。
他の治療法との組み合わせ
場合によっては、他の美容治療と組み合わせることで全体のバランスを調整することも可能です。例えば、周辺部位にも適切な治療を行うことで、全体的な調和を図る方法があります。 ※不可能な組み合わせの治療法もあります。
再手術による修正
極めて稀なケースですが、他の方法で改善が困難な場合は、外科的な修正を検討することもあります。ただし、これは最後の手段として考えられるべき選択肢です。
膨らみすぎを防ぐための医院選びのポイント
PRPF治療で膨らみすぎを防ぐためには、適切な医療機関と医師を選ぶことが最も重要です。以下のポイントを参考に医院選びを行いましょう。
専門資格と経験の確認
形成外科専門医や美容外科の豊富な経験を持つ医師を選ぶことが重要です。顔面の立体解剖を熟知し、PRPF治療の十分な症例数を持つ医師であれば、適切な注入量や技術を提供できます。
PRPF療法研究会への所属
PRPF療法研究会に所属し、適切な指導を受けた医師による治療を選ぶことをお勧めします。この研究会では、安全で効果的な治療プロトコールが確立されており、膨らみすぎなどのトラブルを防ぐためのガイドラインが設けられています。
使用する薬剤や器材の品質
塩化カルシウムを使用していない、白血球を含まないPRPを使用している、適切なb-FGF添加量を守っているなど、安全性に配慮した治療プロトコールを採用している医院を選びましょう。
アフターケア体制の充実
治療後の経過観察やフォローアップを確実に行う医院を選ぶことが重要です。2週間目、1ヶ月目の診察を必ず行い、問題があった場合の対処法を明確に説明できる医院が理想的です。
十分なカウンセリング時間
治療前に十分な時間をかけてカウンセリングを行い、患者様の希望や不安を丁寧に聞き取る医院を選びましょう。リスクやデメリットについても正直に説明する医師が信頼できます。
施術前に確認すべき重要な質問事項
PRPF治療を受ける前に、以下の質問を医師に確認することで、膨らみすぎのリスクを最小限に抑えることができます。
治療プロトコールに関する質問
「使用するPRPに白血球は含まれていますか?」
「b-FGFの添加量はどのように決定していますか?」
「塩化カルシウムは使用していますか?」
⇨これらの質問により、安全な治療プロトコールが採用されているかを確認できます。
経験と実績に関する質問
「PRPF治療の症例数はどの程度ですか?」
「過去に膨らみすぎなどのトラブルはありましたか?」
「そのような場合の対処法はありますか?」
⇨医師の経験と対処能力を確認することで、安心して治療を受けることができます。
アフターケアに関する質問
「治療後のフォローアップスケジュールを教えてください」
「膨らみすぎた場合の修正方法はありますか?」
「修正治療に追加費用はかかりますか?」
⇨治療後のサポート体制を事前に確認しておくことが重要です。
まとめ:安全で満足度の高いPRPF治療を受けるために
PRPF治療で膨らみすぎが生じる可能性はゼロではありませんが、適切な医院選びと正しい知識により、そのリスクを大幅に軽減することができます。
最も重要なのは、経験豊富で信頼できる医師による治療を受けることです。PRPF療法研究会に所属し、適切なプロトコールを遵守している医院を選び、十分なカウンセリングを受けた上で治療を決定しましょう。
また、治療後の正常な経過を理解し、膨らみすぎかどうかを正しく判断することも大切です。不安を感じた場合は、一人で抱え込まずに担当医に相談することをお勧めします。
PRPF治療は適切に行われれば非常に効果的で安全な治療法です。この記事の情報を参考に、安心して治療を受けていただければと思います。治療を検討されている方は、まず信頼できる専門医への相談から始めてみてください。