美容外科 ティーズクリニック コラム真性女性化乳房を治療して20代の青春を取り戻す
- 監修
- 日本形成外科学会専門医
医療法人社団 聡明会 理事長
田牧 聡志

青春を返せ!と叫びたい声が聞こえてくる症例です。
年齢は20歳で、手術前写真の状態で受診されました。
片側(左側)の真性女性化乳房です。
<病因(真性女性化乳房)>
術前(正面・斜位)
術後(正面・斜位)
原因はほとんどの場合は不明です。思春期のホルモンバランスが影響してしまうようで、生理的なもの、薬剤性、続発性、特発性などがあり、乳腺組織でのエストロゲン(女性ホルモン)とアンドロゲン(男性ホルモン)のアンバランスが病態とされています。
海外の報告では、有病率は約3割と多く、日本でのデータはありませんが、お困りの男性も多いと思います。
<症状と徴候>
殆どの場合は症状はないようですが、一部の方では、胸部の痛み、腫脹や異物感です。また、外見に対する精神的な苦痛などがあります。
<診断>
– 超音波診断
– MRI画像診断
鑑別診断としては、乳がんや偽性女性化乳房であり、片側の場合は、特に乳がんを否定する必要があります
<術前検査>
病因の検査:一般的な感染症などの術前検査に加えて、
採血検査では、肝機能・腎機能、甲状腺ホルモン、性腺ホルモン(男性・女性ホルモン)等を確認します。
また、内出血による血腫を予想するためにも、血液の凝固機検査を行うこともあります。
<治療>
乳腺切除(健康保険での手術名称として「乳房切除術」「皮膚皮下腫瘍切除術」):
手順としては、
①胸部全体の写真撮影:3方向からの写真撮影
②デザイン:乳輪下に沿って切開線をデザイン(2-3cm程度)
③局所麻酔(浸潤麻酔法):しっかりと時間を掛けて行います。これにより痛みを抑えることができます。
④切開から乳腺の剥離~摘出
⑤廃液用ドレーンの挿入:小さな乳腺の場合は簡易なペンローズドレーンを使用し、大きな乳腺の場合はJ-VACドレーンなど吸引型のドレーンを使用します。
⑥創部の縫合:吸収糸を用いて縫合します。抜糸は行いません。
⑦創部の保護
⑧圧迫固定
の順で行ってきます。
術後の副作用:
圧倒的に多いのは内出血による血腫です。術後の形態に影響も与えかねないため、しっかりとした予防策を取ります。
創部がみみずばれなる肥厚性瘢痕になってしまった場合は、追加で切除する可能性もあります。
術後の病理検査:
切除された乳腺は病理専門医に送り、詳細に検査をしてもらいます。
<要点>
左右差があり、一目瞭然な真性女性化乳房の片側症例ですが、このままの状態で受診まで、一般外科や乳腺外科で、疾患として扱われることもなく放置されている場合や、時間が経てば無くなりますと一蹴されることもあるようです。
しかしながら、吸収されることもあるようですが、かなりの時間を要するため、社会生活に支障をきたすこともあるため、当院では切除することをお勧めします。